国際ロータリー 坂出東四国 ロータリー衛星クラブ

映画「風のマジム」を作ろうとなぜ思ったのか

2025.09.05

クラブ会員 笹岡三千雄

この度、映画「風のマジム」が関友彦プロデューサーと芳賀薫監督の手により完成しました。9月12日より全国公開の予定です。私はエグゼクティブプロデューサーとして名前を入れて頂いています。

私は子供の時から映画が好きでした。その頃は「三本立て」の時代で、映画館に行くといつもいっぱいの時代でした。初めて見た映画は、うろ覚えですが、嵐寛寿郎の「鞍馬天狗」ではなかったかと思います。次に覚えているのが「月光仮面」です。

映画関係の人間でもなく、ただ好きと言うだけでなぜ映画を作ることになったのか。それは、少しお金に余裕ができ、子供達も独立して心配がなくなり、70も半ばを過ぎ、さて死ぬまでに何をしようかと考えた時に映画と言う言葉が頭に浮かんできました。そこでいつもの呑み仲間と話をして映画を作ってみようとなりました。それから約2年、月に1回程度のペースの呑み会で集まり、自分が読んだ本を紹介し合いました。その結果、原田マハ原作の「風のマジム」でやろうと言うことになりました。この物語は、沖縄の会社で派遣社員として働いている「マジム」が社内ベンチャー募集に応募して、色々と苦労しながら南大東島のサトウキビを使ってラム酒を造ると言う話です。

この呑み仲間は舞台役者をやっているので、そのつながりから関プロデューサーと知り合い、あとは関さんが全て進めてくれました。ただ一つ関さんにお願いしたのは、上から目線の映画にはしないでほしいと言ったのを覚えています。つまり、観客に対して「こんなこと知らないだろう」と言うような映画にはしたくないと言う意味です。おかげでその思いのとおりの映画になったと思います。

もちろん、見た後の感動のある映画にはする必要があります。感動には非日常での感動と日常の感動があると思いますが、この映画は日常生活の中での感動を感じてもらえる作品だと思います。

映画では伊藤沙莉が主人公のマジムを演じてくれています。その他にも高畑淳子、富田靖子、染谷将太、シシドカフカ、滝藤賢一と言った本当にうまい役者が出てくれて、見ごたえのある映画になっています。私の個人的な感想は、マジムのおばあ役をやってくれている高畑淳子が重しのきいた演技をしてくれていて、じっくりと見ることのできる映画になっています。

この物語の舞台は沖縄の南大東島です。この島がどこに有るかご存知ですか?台風のニュースでは良く耳にすると思いますが、沖縄本島から真東に行き、そこから真北に行けば九州の宮崎県という絶海の孤島です。サトウキビから砂糖を作るのが主な産業ですが、この映画ではマジムがそこでラム酒をつくると言う提案をして島民の大反対にあうことから始まります。砂糖の原料である大事なサトウキビを横取りするのかと言う反対です。この物語にはモデルがいます。沖縄の(株)グレイス・ラムでCOR・CORラムを製造販売している金城祐子さんです。

ロケは東京近郊と沖縄本島の二カ所で行われました。部屋の中の撮影は東京で行い、外の撮影が沖縄です。南大東島は小さな島で百人近い撮影スタッフが宿泊する宿もないので、撮影は沖縄本島で行われました。幸いに背景はサトウキビ畑なので違和感は無く見れます。私も2回ほど撮影を見学しましたが、これでもか言うほどテストを繰り返し、いざ本番となっても、少しでも監督の意図にそわないところがあればすぐにカットがかかります。このコダワリを見ていて、自分自身の仕事へのコダワリ方を思い、反省することが多々あると感じました。

この映画「風のマジム」は子供から大人まで、誰が見てもワクワク、ドキドキし、良かったと思いながら映画館を出ていく映画になっています。ぜひ皆様も肩の力を抜いて楽しんでください。

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